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2014年1月 7日 (火)

苦役列車 西村賢太

なんとはなしに 手にとった本。

 
文庫になっていて 薄いし 飛行機の中で読むにはちょうどよいか? と思って買った。
 
 
本を買う場合 基本的にはスペースがもったいなので できるだけ電子書籍で買うようにしているんだけど 飛行機の中では Kindleのスイッチを入れたり消したり 離着陸のときは使えなかったりなので 文庫とか新書とかを 空港の書店で買うことがおおい。 
 
 
著者は 芥川賞をとったときのコメントがユニークで それから芸能事務所にも所属するようになり テレビとかにもでている。
 
 
で、その小説の内容だけど まぁ これぞ私小説 というべき私小説で 作者の西村氏そのものを 書いていることに間違いはないとおもう。
 
 
本人のキャラが、テレビなんかでみても ユニークなので どうやって あのユニークなキャラができたのかを知ることができるとおもう。
(実際の本人の身の上は少し違うようだけど)
 
 
 
 
 
巻末に石原慎太郎氏が 解説をかいているので ちょっと引用。
 
 
西村氏の全ての作品は、ろくに風呂も行かず顔も洗わず着替えもせずにいる男の籠った体臭をあからさまに撒き散らしていて、その心身性には辟易する読者もいるに違いないが、しかし有無いわさずこれが人間の最低限の真実なのだといいきっているのがえもいえぬ魅力なのだ。(引用終わり)
 
 
 
「これが人間の最低限の真実なのだといいきっている」と書いてしまうと ちょっと違うきもするな。
 
 
 
 
あたりまえだけど 西村氏は作中の自分(あるいは、本人)のキャラクターのユニークさを十二分に自覚しているんだとおもう。
 
 
 
 
それは 自分自身でもあるわけだから 全く忌み嫌われるキャラクターとして 描けば それは自己否定になるので 自分がもたない。
 
 
 
だから  中卒、日雇い人足、といったとてもわかりやすい、スティグマ性が高い記号を、作中におくことによって 逆に読者の共感を得ているんだとおもうな。
 
 
 
 
つまり 「低学歴だからってバカにするなよ」 「職業なんて 別に人間性に関係ないじゃないか」といった 絶対正義のような共感を得やすいのは 中途半端な学歴や 職業ではなくて 中卒、日雇い人足 といった およそ最底辺とおもわれやすい立場のほうが 圧倒的に 読者にわかりやすい共感を得られるはず。
 
 
 
 
その共感を得ている感触を作者はかんじながら、作中人物が ひどい振る舞いや、どうしようもない行動を描くことが 小説のドライブになっているんだとおもうな。
だから 読んでいて どこかに 「まぁ確かに こういう部分は男なら 程度の差はあれ あるよな」とおもわず 思わされる。
 
 
 
 
 
 
 
 
苦役列車のその後? なのかな? 「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」が同本に併録。
こちらも 同等の文体で違和感なく読める。
 
 
 
 
 
 
つげ義春とか 落ちぶれていく男の話は ときどき読みたくなる。
 
 
 
それは 僕自身が 「いつかこうなるのでは?」という恐怖かもしれないし、「ここまで 落ちぶれることは 自分にはないな」と安心するためなのか あるいは単に 「こんな やつらを相手にしてはいかんな」とせせら笑うためなのか 自分でもよくわからないけど。
 
 
 
 

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